平和と民主主義を守り育てる闘いの強化をめざす特別決議

 敗戦後、55年。日本の平和と民主主義、そして憲法が脅かされている。
 アメリカの戦争に加担・協力する「周辺事態法」など日米新ガイドライン関連法、内心の自由を侵して押しつけ・強制が進む「日の丸・君が代(国旗国歌)法」、憲法で禁じられた通信の秘密を侵し、プライバシーや報道の自由を侵害する恐れのある盗聴(通信傍受)法、国民に背番号をつけて管理しやすくする改定・住民基本台帳法など、うちへ向けての国民統合、外へ向けての国威発揚を狙った一連の連立政権立法が、この国を大きく右旋回させている。
 2000年1月には、衆参両院に初の憲法調査会が設置され、「調査」という名目ながら、「戦争の放棄」を明記した憲法第九条の削除をもくろむ平和憲法破壊論議が進んでいる。
 さらに、「日本は天皇を中心とした神の国」「国体(護持)」発言など、戦前回帰発言をくり返す森喜朗首相は、「有事(戦争)法制の立法化」をめざし、「10月中にも法制化作業の開始を指示」、「来年の通常国会に法案を提出」する方針を固めた、と一部で報じられた。
 戦争の世紀といわれる20世紀最後の年。こうした一連の危険な立法と政治権力の動向に対して、平和と民主主義を擁護するあらゆる勢力がこれを阻止する闘いを強化しなければならない。とくに私たちメディア関連の労働組合には、自らの生活と権利の向上のみならず、この国の平和と民主主義を守り育てる社会的な使命がある。新聞、放送、出版、印刷、音楽などの業種を超えて、私たちはこの社会的使命の一点で結集し、平和と民主主義を守り育てる闘いの先頭に立たなければならない。
 今夏、腐敗する警察権力が実行部隊となる盗聴法が施行された。今後も個人情報保護法、青少年有害環境対策基本法、人権擁護推進審議会の答申など次々と表現・報道の自由を侵害する恐れのある法制が具体化ないし提案されていく見通しだ。これら一連のメディア規制関連法によって、権力監視と権力批判を封じながら、「国民統合・国威発揚」の総仕上げとなる「有事(戦争)立法」を推し進めるとすれば、この国が再び暗黒の時代に戻るのにそう長く時間はかからない。
 あと90日余で来る21世紀は、人権の尊重とともに、その基盤となる平和と民主主義の浸透・実質化こそが求められる。私たちは改めて、平和と民主主義を守り育てる闘いを強化することを、マスコミ労働者の総意として、ここに決議する。

2000年9月30日
          日本マスコミ文化情報労組会議 第39回定期総会