政府・与党は、参議院法務委員会の審議、討論と採決を省略して、委員長中間報告によって本会議採決を強行、共謀罪新設法案の強行成立させた。
メディアは「奇策」と報じたが、「国会の自殺行為」としかいいようがない。われわれは、「内心の自由」「表現の自由」を破壊し、警察権を拡大して、戦争が出来る国をつくる改憲をめざす安倍内閣に対し、満身の怒りを込めて抗議する。
共謀罪法案について政府は、マフィア対策でしかない条約を「テロ防止条約」だと偽り、組織外の周辺の人をも含んで捜査の対象とされるのに「一般人は関係がない」とウソの答弁を繰り返した。そして、法案自体、277といわれる対象犯罪の数どころか、構成要件とされる「計画」や「準備行為」の定義はあいまいなままで、「何をしたら罪になるのか」さえ明らかにされていない欠陥、かつ憲法違反の法案である。
今回の強行は、安倍政権の目玉政策の「特区」が、実は首相の親友の学園に便宜を図り、政策自体が歪められた疑惑が国会審議で明らかになり、その進展を恐れた政権が「加計隠し」を図ったものだと指摘されている。しかし同時に、それだけでなく、「2020年に9条改憲の施行」をめざす安倍政権が今年中の自民党案作成、2018年12月の衆議院任期中の改憲発議、国民投票、さらに天皇退位、元号改元、などという独裁的「改憲スケジュール」に乗ったものだとも取りざたされている。
われわれは共謀罪法案の新設と安倍改憲戦略の狙いを見抜き、日本を再び暗黒の時代に戻すことがないよう、日本国憲法を擁護し、改憲を許さず、平和と人権、そして民主主義を進めるジャーナリズムの精神を貫き、あきらめず闘い続けることをここに声明する。

2017年6月16日
日本ジャーナリスト会議