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No.44 2009.3.14 19:57
名前 ***法令を遵守し会社を守るために***
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タイトル 法令を遵守し会社を守るための 「名ばかり管理職」リスクの回避策
本文 一般企業向けの【企業経営情報レポート】より紹介します。

◆「管理職」と「管理監督者」の違い
(1)「管理職」イコール「管理監督者」ではない
企業での管理職と、労働基準法でいう管理監督者とは異なります。課長職以上を管理職
として扱っている企業が多いと思いますが、労働基準法の管理監督者は役職名や肩書きで
判断できません。労働基準法上では「監督もしくは管理の地位にあるもの」「部長、工場
長など労働条件の決定、その他労務管理について経営者と一体的な立場にあるもの」とさ
れています。

つまり、管理監督者について各企業で勝手に「課長職以上は管理監督者だから、残業代
は支払わない」というように決めてよいわけではありません。あくまでも客観的に決まる
ものです。客観的に「労働時間、休憩、休日を適用除外にしても、労働者保護の観点から
問題がない」と言える範囲に限定されます。

管理監督者の意義・範囲については、法令は特段に定めていないため、行政解釈が示さ
れています。管理監督者とは、労働条件の決定その他の労務管理について経営者と一体的
立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべし、とされています
(昭22.9.13 発基17 号、昭63.3.14 基発150 号)。

その要件は以下の通りとなります。

@事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮管理監督権限
 を認められていること
A自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること
B一般の従業員に比べその地位と権限にふさわしい賃金上の処遇を与えられ
 ていること
労働の質、量、およびそれに対する待遇等を、総合的かつ実態的に判断されるというこ
とです。


(2)管理監督者の判断基準
管理監督者の判断基準についてのチェックリストは次のようになります。チェックリス
ト形式にしましたが、管理監督者の判断は実態に即した総合判断になりますので、最終的
には総合判断が必要です。

■管理監督者 チェックリスト
職務内容・権限・責任等
1 募集・採用条件・採用について決定権限があるか
2 人事考課、賞与額について決定権があるか
3 昇進・昇給について決定権限があるか
4 人事計画の作成について権限があるか
5 重要事項を決定する会議への参加権限があるか

勤務態様
6 自己の勤務時間について、実質的に見て裁量権が行使できるか
7 早退・遅刻のとき賃金が控除されないか

待遇
8 すぐ下の非管理監督者の賃金水準と比較して十分といえるか
9 管理監督者になり、時間外手当が支払われなくなったことにより、以前より
 賃金が低くなってはいないか
10 役職手当を含めた待遇が管理監督者に見合うものか

(3)企業における管理監督者の意味合い
労基法41 条2号において、管理監督者については、同法の労働時間、休憩および休日に
関する規定を適用しないと定めています。

@労働時間
1日8時間以内、1週40時間以内とする
A休憩
労働時間が6時間を超える場合45分以上の休憩、8時間を超える場合は1時間
以上の休憩を与える
B休日
1週に1日以上の休日を与える
つまり、管理監督者には時間外労働、休日労働という一般の従業員への考えは当てはま
らず、残業代は支払わなくてもよいことになります。ただし、年次有給休暇や深夜業務の
割増賃金の支払義務は適用されます。

管理監督者は、経営者と一体的な立場にあり、自らの労働時間の管理について裁量権を
もっているので、上記のような規制になじまないためとされています。

「名ばかり管理職」に対する行政指導の実例
1.行政指導の現状
(1)裁判例の基準
管理監督者性の判断をする多くの裁判例は、日本マクドナルド事件の判決に限らず厳格
です。特に、職務権限がある程度認められても、相当程度の広い権限と裁量性がないと、
待遇がある程度のレベルでも管理監督者性を容易に認めません。

裁判で否決されると、役職手当を支給していたときは、その解釈が争点となります。つ
まり、当該役職手当は、割増賃金の算定基礎に入るのか、そして計算された割増賃金から
既払いの定額残業代として控除できるのかということです。

また、付加金の支払いを命じる裁判例もあります。金額については、いろいろあります
が割増金額と同額まで命じた裁判例もあります。

(2)裁判による対応例
管理監督者性としての実態がないのに管理監督者と位置付けていたときは、以下のよう
な対応を命じられます。

@労働時間、休憩、休日の労基法の規制が及ぶことになり、法定労働時間(1日8時
 間、1週40 時間)を超えれば、割増賃金を支払わなければなりません。
A役職手当を支払っていても、その手当の取扱いが問題となり、役職手当を割増賃金
 の算定基礎に算入しなければならず、かつ、計算された割増賃金からその役職手当
 分を控除することができない可能性があります。
B付加金の支払う可能性があります。
 賃金債権の時効は2年ですから、2年分の未払い賃金を支払わなければならなくなり、
 莫大な負担となります。
画像
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