2016MIC春闘決起集会アピール
日本国憲法が保障した表現の自由を脅かす安倍晋三政権の暴走が止まらない。高市早苗総務相は「政治的公平」を定めた放送法を根拠に、事業者への免許停止の可能性に言及し、政権に都合が悪い番組への介入を画策している。言うまでもないことだが、放送法は表現の自由の確保を原則に掲げ、番組編集の自由を明文化している。総務相発言は、集団的自衛権の行使を可能にした安全保障法制や特定秘密保護法と同様に、またも立憲主義を軽視する政権の姿勢を浮き彫りにしたと言えるだろう。
戦後70年の節目の年だった昨年は、従軍慰安婦問題などをめぐる朝日新聞への異様なバッシングが広がり、沖縄の地元2紙の論調が偏っているとして、自民党の勉強会で「新聞社をつぶせ」などという暴言も飛び交った。陰に日向に強まる報道圧力の結果、政権に批判的とみられるテレビ局の看板キャスターが相次いで降板したり、公共施設が政治的な内容を扱う集会に会場を貸し渋ったり、書店が学生団体「SEALDs」の選書フェアを取りやめたりするなど、自主規制や過剰反応も広がりつつある。言論統制が強まった戦前と同じ空気を感じている人も少なくない。
安倍政権が公然と明文改憲を口にするようになった今、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)は、言論や報道の自由を阻害するあらゆる動きに抗い、平和と民主主義を守るために立ち上がることをあらためて誓う。
2016春闘を前に、労働法制をめぐる動きにも警戒を怠ってはならない。昨年は労働者派遣法の改悪が強行され、労働時間規制の大幅な緩和を目指す「残業代ゼロ法案」も今年、国会で審議されようとしている。労働者保護の観点を顧みず、資本家の論理で日本の雇用を変質させようとする政府の企みは、絶対に阻止しなければならない。
MICに集う全ての労働者の声を背景に、横暴な経営者による不当な差別を許さず、あらゆる争議の解決を目指し、団結の力で大幅な待遇改善を勝ち取ろう。
2016年2月25日
日本マスコミ文化情報労組会議