10数年前のバブル崩壊後の企業の生き残りのための賃金の抑制、若年労働者の採用手控え等により、特に20代から30代の若者が定職に就けずに、日雇い労働や最低賃金で生活しています。労働者の権利や今後の日本の社会について考えるよい機会になればいいと思い、この問題を取り上げました。

ワーキングプア

「働く貧困層」の意味で、もともとはアメリカで広がっている事態を説明する概念。正社員並みに、あるいは正社員としてフルタイムで働いても、ギリギリの生活さえ維持が困難、もしくは生活保護の水準以下の収入しか得られない就労者の社会層のことである。(ウィキペディアより)

背景

バブル崩壊により、企業の体力がなくなった。

昭和の終わりごろから平成初頭にかけて発生したバブル経済がしぼんだことにより、金融界を筆頭に全産業を巻き込んだ倒産が相次いだ。そして生き残った企業でも余力が無くなり、新規採用・賃金の抑制をせざるを得なかった。

グローバル経済化により、工場などが国内から海外へ移転した。

経済の垣根が低くなり、企業は競争力を維持するため、より安価な労働力を求めて生産拠点を海外へ求めたため、日本の労働者を受け入れる機会が減少した。また、高い賃金を支払わなければならない正社員の雇用を敬遠し、パートや派遣労働者等の非正規社員を労働者として用いた。

アジアとくに中国、インド、ロシアの経済発展が顕著になった。

日本がバブルの後始末に手をこまねいている頃、隣国の中国が改革解放による経済発展を成功させ、全世界に安価な製品を供給するようになった。また、インドでも、いくつかの財閥系企業が台頭し、コンピュータ技術者が成長して情報産業等で力を発揮してきている。そして、豊富な天然資源を背景に、ロシア経済が再興してきている。これらのことが、製品価格や労働賃金で日本の競争力の劣位を招き、ますます新規正社員への採用抑制に結びついた。

利益の株主への配当性向が高くなった。

一部の大手企業では、バブル期を凌ぐ利益を稼ぎ出すところもあるが、外国の機関投資家が日本企業の株式を保有する割合が高まっており、彼らが高配当を要求することで労働者の賃金への反映が鈍る傾向がある。

問題に思うこと

ワーキングプア層は、時代背景から必然的に発生したという点も多々あります。しかしこれにより将来様々な面で問題が発生してきます。たとえば、家庭が築けず、一生独身の可能性がある、家庭を持っても、収入の面で子供に高等教育を受けさせることが出来ず、貧困の拡大再生産がなされる、老後に充分な社会保障が受けられない等々です。

次回は、ワーキングプアの実態と問題点、その改善策について考えいきたいと思います。

(組織部:H.O.)
 
第四回 パートタイム労働法 目次 第六回 ワーキングプア(その2)